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「第十九代佐平治乃図」

●制作経緯

平成22年より、新潟県小千谷市片貝町 「忍字亭(旧佐藤佐平治家)」 で始まったお祭り、【祭る】。
毎年多くの参加者により賑わうこの祭りから、この大絵馬の制作は始まった。


片貝町は花火と職人の町。
江戸時代に天領だったっこともあり、この地には花火をはじめ鍛冶・染めなどその他多くの職人がその保護を受けて集まり、お互いに影響し合いながらその技術を高め合った。
その中の 「佐藤佐平治家(現忍字亭)」 は酒造を営んでいた地主だった。
全国に相次いで起こった大飢饉で、秋山郷(現津南市)は大きな被害を受け、天明3年(1783)の大飢饉、天保7年(1836)の大飢饉では秋山郷の多くの村が全滅し、他の村も滅亡の危機に陥った。

この時救いの手を差し伸べたのが佐藤佐平治だった。佐藤家は以前から飢饉の度に全力を挙げて被災者を救い、そのため一時は倒産寸前になったほどだった。
21世紀の日本社会は、飢饉もなく飢え死にする人もいない。しかし、自ら命を絶ってしまう人も多く、お金を手に入れる為なら人を殺しても構わない、といった事件が次々に起こっている。
財産を投げ出して人々の命を救った佐藤佐平治の心を、私たちは今こそ社会に伝えなければならないのかもしれない。

佐藤家 「忍字亭」 は沢山の人々からの感謝の念が染み付いた場所である。


「第十九代佐平治乃図」は、2012年の【祭る】に向けて制作された絵馬。描かれている人物は、【祭る】の会場に縁のある十九代目 佐藤佐平治。彼は旅の道中、立ち寄った家々の囲炉裏の灰に火箸で 「忍」 の一文字を書いて歩き、 「勤勉に励み、そして耐えれば良いことが必ず起こる」 ということを教えていた。また、彼は信州善光寺を信仰しており、参拝に赴く祭の費用を全て持ち、片貝の貧しい村人と共に参拝するなど、人々から親しまれた。彼は 「忍字翁」 と呼ばれ、現在の 「忍字亭」 の由来とも言われている。

     現代を生きる私たちは、彼の精神や行いから学ぶべきことがあるのかもしれない。

彼の精神を受けて制作されたこの大絵馬は、【祭る】開催後、町の方々の想いと共に、忍字亭へ寄贈された。

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●「第十九代佐平治乃図」

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2012
Acrylics on Old wood
1000 × 400 mm

●メディア

・2012.06.01 『信濃毎日新聞』

●関連項目

・即興絵画(Livepaint)
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・即興表現(Performance)
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・図案意匠(Design/Flier)
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